絵本の読み聞かせは何歳まで? 本好きに育てるための4~6歳の読み聞かせとは?
こんにちは!しちだ・教育研究所です。
お子さまは、絵本がお好きでしょうか?
絵本の読み聞かせは、お子さまの想像力や思考力、知識の幅を広げる有効な手段です。
幼児教育に興味をお持ちのご家庭では、すでにさまざまな場面で
読み聞かせの大切さを目にされているかもしれません。
小さいころからずっと読み聞かせを続けてこられた方も多いのではないでしょうか?
では、絵本の読み聞かせは何歳で卒業になるのでしょうか?
今回は、4~6歳のお子さま向けに、
さらに一歩進んだ読み聞かせについてお伝えしていきます。
目次
●絵本好きな子は、本好きに育つ?
●STEP1 子供の「好きなこと探し」を絵本で!
●STEP2 実物を見る前に?見てから?図鑑はいつ使う?
●STEP3 絵本から児童書への橋渡しで真の本好きに!
●読み聞かせは学力にどう役立つ?
絵本好きな子は、本好きに育つ?
お子さまが4~6歳くらいになると、
それまでずっと読み聞かせが習慣になっていたおうちでも、
「そろそろ卒業かな?」と思われる頃かもしれません。
「絵本の読み聞かせはいつまで続ければいいの?」
「同じようなジャンルのものばかりで飽きてきた…」
「こんなに絵本を読んだから、きっと本好きに育っているはず!」
こんな風に思われたことはありませんか?
「いつまで読み聞かせを続ければよいのか」という質問を多くの保護者の方からいただきます。
その際、七田式では、「10歳くらいまでは続けてください」とお伝えしています。
もちろん、小学生になると読める漢字も増えますし、
1人で本を読むことができるようになりますよね。
ただ、「文字が読める」ことと、「内容を理解する」ことはまったく違うことです。
文字を読むことに気を取られず、ストーリーに没頭するために読み聞かせが必要なのです。
ストーリーに集中できると、ますます本が楽しめる子になります。
保護者の方の多くは、
お子さまに本好きに育って欲しいと願っていらっしゃるのではないでしょうか。
そのために、赤ちゃんの頃から絵本の読み聞かせを続けてきたという方もいらっしゃると思います。
小さいころから読み聞かせが習慣になっているご家庭では、きっと絵本好きのお子さまも多いですよね。
では、絵本好きのお子さまは、そのまま本好きになってくれるのでしょうか?
答えは、「必ずしも本好きにはならない」のです。
これまで続けてきた読み聞かせの習慣で、絵本を大好きに育ってくれたお子さまが、
本好きになってくれたら嬉しいですよね!
そこで、
・普段と変わった絵本の読み方
・本好きになるための読み聞かせ
・一歩進んだ4~6歳のお子さま向けのポイント
などについて、お伝えしていきます。
STEP1 子供の「好きなこと探し」を絵本で!
お母さま、お父さまの皆さんは、
「子供には好きなことをして、のびのびと生きていってほしい」と
願っていらっしゃることと思います。
そのためになるべく早く、好きなこと、夢中になれることを見つけてほしいですよね。
ただ、幼い子供にとって、小さな世界の中で、
好きなことに出合うことは簡単なことではありません。
ですから、おうちの方が、こんな世界がある、あんな世界があるということを、
お子さまになるべくたくさん見せてあげましょう。
さまざまなジャンルの絵本との出合いが、夢中になれることを知るきっかけになることもあるのです。
できることなら、何事も実際に体験させてあげるのがいちばんですが、
毎週末、ファミリーコンサートやスポーツ観戦、博物館や動物園…と、
いろんなところへ連れて行くのは大変です。
そのようなときにこそ、絵本を活用しましょう!
きょうだいがいても、子供によって何に興味を持つかはまったく違います。
虫なのか、星なのか、ロボットなのか、恐竜なのか…
親がさまざまなジャンルの本を見せることで、子供の興味の発端を見つけることができるのです。
様々なジャンルの絵本を見せて、お子さまが何に興味を示すのかを見つけてから、
実際に体験できる場へ連れ出してあげましょう。
図書館に行けば、あらゆるジャンルの本があります。
いつもは絵本コーナーで選んでいるお子さまも、
一般スペースで探せば、新しいジャンルの本が見つかるかもしれません。
文章が読めなくても、写真がたくさん載っているものであれば、
お子さまでも十分楽しむことができます。
小さいうちに何が好きなのか、何をしたいのかを見つけるために、
絵本をどんどん活用しましょう。
STEP2 実物を見る前に?見てから?図鑑はいつ使う?
読み聞かせに使うのは、絵本だけではありません。
特にオススメしたいのは、図鑑です。
図鑑はカタカナや漢字が多く、小さなお子さまではなかなか上手に読むことができません。
ですから、一緒に眺めて、お子さまの代わりに読んであげてください。
オススメの使い方は、お出かけする予定の数日前やお出かけした後に、
関連する図鑑を見ることです。
たとえば、動物園に行く予定があるなら、
「動物園でどんな動物を見たい?」と聞いてみましょう。
そしてその動物を図鑑であらかじめチェックしておきます。
お子さまが「キリンが見たい!」と言うなら、キリンのページを開きます。
「白地に赤褐色のアミメキリンと、星形模様のマサイキリン、動物園にいるのはどっちだろうね?」
「頭までは4メートルもあるんだって!〇〇ちゃんの4人分だね」
「首だけじゃなくて、舌も長いんだって。見られるといいね」など、
図鑑を使って話題を広げておくと、本物を見たときの印象が強くなります。
また、図鑑には、数字の情報がたくさん載っています。
動物の大きさや重さ、首の長さなど、図鑑を通じてさまざまな数字に触れておくことで、
実物を通して実際の大きさを確認することもできます。
もちろん実物を見た後に活用するのもOKです。
たとえば水族館では、あまり聞いたことのない初めて見る生物も多いですよね。
「この巻貝、おもしろい形だね。帰ったら調べてみよう!」などと言って、
帰ってから図鑑で探します。
お目当てのものを見つけられると、子供は喜んで、必死で説明の文章を読もうとします。
図鑑には大人も知らない知識がたくさん含まれていますから、一緒に調べてみたり、自分の目で確認したりするのもいいですね!
また、そのように自分で図鑑の中からお目当てのものを探せるようになると、
1人でも眺めたり、気になったことを調べたりできるようになります。
図鑑との付き合いは、小学生の間もずっと続きますから、
早いうちから慣れ親しんでおくのがいいでしょう。
まだ図鑑は難しいからと、「もう少し年齢が上がってから」と考える必要はありません。
子供はいつ、何に興味を持つかわかりません。
好きなことであれば、どんなに難しい本でも図鑑でも読み進めてしまうものです。
最近は本屋さんでも様々な図鑑が並んでいます。
よくある動物や植物だけでなく、宇宙のしくみや機械のしくみ、
きのこや電車など、ある分野に特化したものから、
職業や人物、歴史、絵画、世界遺産の写真集など、どんなジャンルのものでもOKです。
STEP3 絵本から児童書への橋渡しで本好きに!
図鑑に加えて、もう一つ踏み込んでいただきたいジャンルがあります。
それは児童書です。
児童書というのは、挿絵が少しだけある子供用の読み物です。
実はこの「絵本から児童書への移行」が非常に大切なのです。
最初にお伝えしたように、絵本好きな子がみんな本好きになるかというと、
残念ながらそうとは限りません。
なぜかと言うと、絵本と児童書は別物だからです。
絵本は、絵を追うだけでも、ある程度楽しめますが、児童書は違います。
児童書は絵本以上に想像力を働かせ、ストーリー展開の楽しさ、この先どうなるのだろう?
というワクワク感を楽しむものですから、別物なのです。
ですから、お子さまが「絵本好き」に育ったからといって、必ずしも「本が好き」ということにはならないのです。
お子さまの成長に従って、
「絵本好き」から「本好き」に移行させるには、その橋渡しが必要です。
それが児童書です。
「絵本も楽しいけど、児童書も楽しいよ」ということを、
児童書も読み聞かせてあげることで、お子さまに伝えていただきたいと思います。
ほとんど挿絵もなく、あったとしてもたいていの場合はイラストが白黒の児童書は、
いきなり1人で読むのは大変です。
ですから、児童書も、親の読み聞かせから入るのがいいのです。
最初は挿絵が比較的多いものから選ぶと、絵本からスムーズに移行できます。
他にも、アニメや漫画などで、すでにストーリーを知っているお話の
原作や小説版から始めるのもいいですね。
また、シリーズものは本の世界に入りやすいという点でもオススメです。
児童書になると、絵本とは違って本の盛り上がりに到達するまでに時間がかかりますし、
登場人物のキャラクターを把握するのに手間取る子もいます。
それまでに飽きてしまうこともあります。
しかし、一度読んだことのあるシリーズものであれば、
登場人物のキャラクター把握に時間を取られることはありませんから、
すぐに物語の世界に入れます。
児童書の読み聞かせを続けるコツは、15分を越えないようにすることです。
児童書も長くなってくると、15分では読み終えることはできませんから、
どこかで話をストップしなければなりません。
それが「これからどんな風に展開していくのだろう」と、
ハラハラドキドキする気持ちにつながり、夢中になっていくのです。
ですから、「1週間に1回1時間」ではなく、
同じ1時間なら「1週間に4回15分ずつ」の方がいいのです。
最初にパラパラとめくって、
「キリがいいから、ここまで読もう」と決めておくとよいでしょう。
児童書のおもしろさがわかってくると、
「えー、今いいところなのに、やめないでよ」となってきます。
そこで「しょうがないわね」と続けてしまうと、「頼めば読んでもらえる」と思い
子供はいつも「おねがい!!」とせがんできます。
そうなると、寝る前であれば、寝る時間が遅くなってしまいます。
最初に読むところを決めて、そこで毎回やめるということを習慣にしましょう。
児童書を使って、できることなら10歳くらいまで読み聞かせを続けてあげてください。
児童書まで橋渡しをしてあげれば、お子さまはきっと本好きになってくれるはずです。
読み聞かせは学力にどう役立つ?
読み聞かせの効果の一つに、「読解力が身につく」ことがあります。
「読解力」と聞くと、なんとなく、小学生になったら国語に強くなりそうだな…
というイメージがありませんか?
他にも、「語彙力がつく」とか「表現力がつく」とか、
学力につながることを期待させるような効果もよく目にします。
実際、読み聞かせがどのように学力に役に立つのかも、気になるところですよね。
・行間が読めるようになる
小説に限らず、詩や俳句など、
文学において私たちは、すべての情報を言葉として表しているわけではありません。
こういった作品を味わうためには、「行間を読む」ことが必要です。
行間を読むというのは、書き表された情景や状況、主人公の表情や言動から、
「文章として書き表されていない部分の、気持ちや状態を理解する」ことです。
最近では、これができない子が多いという話を度々聞きます。
たとえば、描かれた状況から明らかに
「主人公はライバルに負けた」とわかる話であっても、
「”負けた”と書いていないから、負けたかどうかはわからない」と
答える子がいるといいます。
では、なぜ行間が読めないのでしょうか。
それは、イメージする力が不足しているからです。
文章を頭の中でリアルにイメージすることができれば、
自ずとその文章が何を述べているのかがわかります。
このようなイメージ力は、幼いころからの読み聞かせで培うことができるものです。
児童書への移行、大人が読むような本への移行にも、
このイメージ力は大きく関わってきます。
挿絵がほんの少ししかない児童書では、
文章から登場人物のキャラクターをつくり上げ、
それを自分の頭の中で動かしていくことになります。
背景の描写も、すべて頭の中のイメージです。
長い文章を楽しみながら読み続けるためには、イメージ力は不可欠です。
こういったイメージ力をつけておけば、将来「書かれていないからわからない」などということはなくなるはずです。
・「語彙力」だけでなく「表現力」もつく
絵本の読み聞かせは、お子さまの語彙力、そして表現力を自然に上げてくれます。
カードやドリルでも言葉を覚えることはできますが、
その言葉がどのような状況で使われるのか、ということまでは、
そのような教材だけではカバーすることができません。
「赤」という単語ひとつとっても、
クレヨンの赤もあれば、夕焼けの赤、赤ちゃんの赤、赤鬼の赤など、たくさんあります。
絵本のなかで、自然に様々な使い方に触れることが、語彙を増やすことにつながります。
また、普段の生活では使わない言葉にも出合うことができます。
話し言葉ではあまり使われていなくても、
絵本のなかでは頻繁に使われる言葉はたくさんあります。
「昔々あるところに~」「幸せに暮らしましたとさ」などは、その最たるものでしょう。
副詞などもそのひとつです。
「ひっそり」「まるで」「ぐんぐん」「どうか」「ひたすら」などという言葉は、
子供との日常生活の会話では、ほとんど使うことはありませんが、
「ひっそりした森の中を、まるで勇者のように、ぐんぐん歩いて行きました」
「『どうかお願いです』と、娘はひらすら鬼に頼みました」などのように、
書き言葉としては当たり前のように使われています。
こういった絵本のフレーズを繰り返し聞いているうちに、
子供はちょっと難しいと思えるような言葉も、自然に使うようになります。
また、どのような場面で使うのか、どのように使うのかも自然と頭に入っていきます。
「ぜひ」には「~たい」という希望、「決して」には「~ない」という否定がくる、
というようなことを、わざわざ暗記をしなくてもわかるようになるのです。
また、語彙が増えると、表現が豊かになります。
100の単語を使って表現するのと、10の単語で表現するのとでは、
その描写は大きくちがってきます。
使える語彙が多いほど、表現は豊かになるのです。
・「読む力」と「理解力」が合わさって本物の「読解力」になる
「読解力」と一言で表現されていますが、実はこれ、二つの能力を合わせたものなのです。
それは「読む力+理解する力」。これが読解力です。
小学1年生のときに、「〇〇さん、5ページを読んでください」などと言われ、読むことはできても、読んだ部分を理解することができない子がかなりいます。
「自分で読みながら、理解する」というのは、
就学したばかりの子供にとって、とても高度なテクニックだからです。
これは、たとえば、ピアノを習い始めたばかりの人が弾き語りをするようなものです。
「ピアノを弾きながら、歌ってください」というのは、初心者にはかなり難しいですよね。
読解力は、読むこととはまったく別の「理解する力」が求められるため、
読むことに集中すると、理解が追いつかなくなるのです。
ところが、読み聞かせをしてもらうと、
自分で読まなくていいので、内容を理解することに集中することができます。
しかも、子供というのは、読んでもらえば2学年上の内容が理解できるとされています。
自分で読むのは難しい本でも、読んでもらえれば十分理解できるのです。
幼いころからの読み聞かせで、読解力を上げることができるのはそのためです。
自然と自分より上の年齢向けの内容の本が理解できるようになっているからです。
そうすると、教科書を読みながら理解する能力を、
すでに備えた状態で小学校に入学することができます。
読解力という複合的な能力を獲得するためにも、読み聞かせが重要なのです。
いかがでしたか?
これらの力は、絵本だからこそ身につけられる力です。
当たり前のことですが、アニメーションなどの動画では絵が動きます。
アニメーションは非常にコマ数が多く、スムーズに絵が動いていくので、
自分の頭の中で絵を動かす必要はありません。
つまり、想像力を働かせる「スキ」がないのです。
絵本の読み聞かせの場合は、
見ている静止画を自分の頭の中で動かしていますから、
同じ本でも受け取り方は子供によってまったく違ってきます。
オリジナルの想像力を働かせなければ読めない。
それが絵本のすばらしいところです。
これまで絵本の読み聞かせをがんばってこられた方にこそ、
絵本好きから本好きの子へと育ってほしいと願っています。
絵本の読み聞かせは、親子にとってとても大切な時間です。
今の貴重な時間を、お子さまと一緒に楽しみながら過ごしてください。