大谷翔平選手に学ぶ幼児期の育て方 !「目標に向かう力」を伸ばす教育法

こんにちは、しちだ・教育研究所です。

メジャーリーグで活躍する大谷翔平選手と言えば、2023年のWBC以降、 テレビでその名前を聞かない日はないくらい、日本を代表するすばらしいスポーツ選手ですよね。
二刀流での活躍、素晴らしい戦績はもちろんのこと、大谷翔平選手の魅力は何といっても、誰からも愛される人間力ではないでしょうか?

「うちの子も、こんな子に育ってほしいな・・・」
「どうしたら、あんな子に育つのかな・・・?」
と、考えたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

大谷翔平選手のような野球の才能はなくても、お子さまに、自分の好きなことや、夢中になって打ち込めるものを見つけて、その力を伸ばしていってほしいと思うのは、親の願いですよね。

残念ながら、ここでは大谷翔平選手のような野球の技術をお教えすることはできませんが、目標を立てて夢を実現させるにはどうしたらよいのか、親が子供にどのように接したらよいのか、今回は、そのヒントになるお話をしましょう。

目次
1.幼少期に培われた自己肯定感
2.目標を達成するためのマンダラチャートとは?
3.多くのスポーツ選手が取り入れているイメージトレーニングとは?
4.小さな成功体験の積み重ねで自信は育つ
5.親の言葉が、子供の一生を支える

積み木男の子

1.幼少期に培われた自己肯定感

大谷翔平選手の良いところはたくさんありますが、今回は「自己肯定感」に絞って考えてみたいと思います。

「自己肯定感」とは、「自分のことが大切だと自分で認められる」ことです。

自分が大切だと思える気持ちを育てることができれば、その影響は広範囲に及びます。
将来を信じて勉強できるのも、失敗を恐れずにチャレンジできるのも、困難から立ち直ることができるのも、自分という存在を大切であると思えるからです。

また、自己肯定感が高ければ、自分以外の人を認めることができるようになります。
たとえば、「お兄ちゃんは勉強ができるけど、僕はサッカーが得意だからそれでいい」と考えることができれば、たとえ学校から持って帰るテストに差があっても、お兄ちゃんを妬むことにはなりません。
「お兄ちゃんはいつもすごい!」と認めたり、誇らしく思ったりすることができるのです。
周りの人を認め、尊重することができるのは、自己肯定感があってこそ。
周囲の人々と円滑な人間関係を保つためにも、それは必要なのです。

日本人は元々、海外の人に比べて、この自己肯定感が低い傾向にありました。
数年前からこの言葉がよく聞かれるようになり、「自己肯定感を高める子育て」についても、さまざまな方法が紹介されています。

大谷翔平選手は、過去のインタビューで、「親に叱られたことはほとんどない」と答えています。
ご両親も、細かいことにはあまり口を出さないように意識していたそうです。

他にも、
親が子供の手本となるように行動で示すこと、
食事は家族全員が揃ってからとること、
子供の前で夫婦喧嘩をしないことなどに気をつけていたそうです。

「自己肯定感」を育てるためには、幼少期の家庭環境がとても大切です。

家庭は子供にとって、いちばん最初のコミュニティです。

親が子供に対して、ガミガミと細かいことに口出ししていては、子供は萎縮してしまい、親の顔色ばかりを窺うようになってしまいます。
両親が喧嘩している姿を見せるのも同様です。
喧嘩してしまうことは避けられないこともありますが、子供の前では一時休戦して、意識的にでも仲良く振る舞うことも必要です。

ただし、円満な家庭とは、決して叱らずに甘やかして育てることではありません。

「しっかりとルールを決めて、そのルールを守れなければ叱る」、
「自分のしたことに対しては、自分できちんと責任を持つ」ということは必ず教えなければなりません。
善悪の判断がつかなければ、社会に出て困るのは本人です。

このルールは家庭によってさまざまでしょう。
人として大切なこと、どんな人に育ってほしいか、基本的なことをいくつか挙げて、それを基準に子育てをすれば、おうちの方自身も、感情的に叱らずにすみます。

親に認められ、愛され、時には厳しい、そんな温かい家庭で育った子供は、心身共に健やかに育ちます。
それが「自己肯定感」につながるのです。

野球選手

2.目標を達成するためのマンダラチャートとは?

花巻東高校時代、野球部の佐々木洋監督は、選手一人ひとりに目標シートを書かせました。
「マンダラチャート」や「夢実現シート」などと呼ばれることもあります。

9マスに分割したシートの中央に、最も大きな達成したい目標を書きます。

大谷翔平選手の場合、中央の目標は「ドラ1 8球団」としていました。

プロ野球の8球団から、ドラフトで1位指名をされることです。

その目標を達成するためにやるべきことを8つ挙げて、周りの8マスに書き込みます。これで大まかな目標が定まります。

ここからさらに、同じシートを8枚用意して、最初のシートの周囲に書いた8マスの目標を、新しいシートの中央にそれぞれ書きます。

そして同じように、中央に書いた目標を達成するために必要なことを、周囲の8つのマスに書き込みます。

そうすると、
大きな目標が1つ、
それを達成するための大まかな目標が8つ、
さらに細かい具体的な目標が64個できることになります。

中央の目標を達成するために、何をしたらよいのかを、なるべく具体的に考えて項目を挙げることが大切です。

そのシートが完成すれば、後は、そのマスの目標を一つひとつ達成するための練習を積むだけです。
目標が具体的であればあるほど、自分が何をするべきなのかが明確になり、努力する方向性が見えてきます。

このマンダラチャートは、野球に限らず、どんな目標でも応用することができます。
特に小学生以下のお子さまであれば、まだそこまで具体的に将来の目標について考えるのは難しいかもしれません。

ただこのように、目標に向けて何を頑張ればよいのか、一つひとつ課題をクリアしていくという経験をさせてあげることはできます。
逆上がり女の子

たとえば、「逆上がりができるようになる」ことを目標としてみましょう。

中央の目標を、「逆上がりを成功させる」とします。

周囲の8つの具体的な目標を立てます。
①毎日10回練習する
②走ったりジャンプしたりして身体を鍛える
③他の人をよく観察する
④逆上がりのコツを聞く
⑤動画を見て真似する
⑥どうして失敗するのか考える
⑦イメージトレーニングをする
⑧好き嫌いせず何でも食べる

8つ挙げるのが難しければ、3~4つから始めてもいいのです。
お子さまが自分で考えて、自分で決めたことに向かって努力するクセをつけることが大切なのです。

園の発表会や、他の習い事、何かチャレンジしたいこと、テーマは何でもかまいません。
一緒に具体的な目標を立てれば、お子さまも何をしたらよいのかがわかりやすくなり、漠然としただけの練習から、充実した時間を過ごすことができるでしょう。

こうした小さな目標達成の積み重ねが、将来の大きな目標達成へとつながるのです。

水泳選手

3.多くのスポーツ選手が取り入れているイメージトレーニングとは?

多くのスポーツ選手は、イメージトレーニングを取り入れています。
皆さんも、テレビの中継などで、選手が目を閉じて集中している場面を見たことがあるのではないでしょうか。

自分の理想の動きや展開をイメージすることで、良い精神状態のまま、試合に臨むことができます。

このようなイメージトレーニングを「達成のイメージ」と呼び、スポーツ選手だけでなく、私たちの生活の中でも取り入れることができます。

試合や発表会など、ここぞという場面になったとき、

「失敗したらどうしよう・・・」

「いつも間違えるから、また間違えるかも・・・」と、

ネガティブなことを想像していたら、本番で本当に失敗してしまうものです。
反対に、良いイメージを持って臨めば、本当に理想通りのパフォーマンスができます。
小学生授業中

スポーツの場面でももちろん有効ですし、小学校受験などの場面でも使えます。
今回は、勉強や試験のときの達成のイメージをご紹介します。

例:テストがスラスラ解けるイメージ

「今日は、テストがスラスラ解けているイメージをしようね。
目を閉じて、3回ゆっくり呼吸をするよ。

3つ数を数えたら、あなたはテストを受ける教室にいるよ。

1、2、3・・・

今、あなたは教室で自分の机についているよ。
これから先生がテストの紙を配ります。
あなたは、とても落ち着いた気持ちでリラックスしています。

さぁ、テストが始まるよ。
よーい、はじめ!
紙をめくって・・・

あ! この問題、あのときお母さんと一緒に練習したね!
この問題は、お父さんに教えてもらったあの問題と似てるね!

えんぴつもスラスラ動いて、あなたのテストを手伝ってくれているよ。
さぁ、この調子でどんどん問題を解いていこう!
どの問題もスラスラ解けて、とっても気持ちがいいね。

あっという間に最後の問題になったよ。
最後の問題はちょっと難しそうだけれど、落ち着いて考えれば大丈夫。
ほら、もう答えがわかったよ。

難しい問題も全部できちゃった! すごいね。
えんぴつも一緒にがんばってくれたよ。
あなたは、今、どんな気持ちかな?

今度のテストも、今日と同じようにスラスラ解けて楽しいよ。
今の気持ちをよーく覚えておいてね。

そろそろお部屋に戻って来るよ。
3つ数えたら、目を開けてね。

3、2、1・・・

目を開けて、お部屋に戻って来たよ。」

 

このように、深呼吸で気持ちを落ち着けた後、3つカウントしてイメージトレーニングを始めます。

言葉がけはあまり難しく考えるのではなく、おうちの方も一緒にその景色をイメージしながら、なるべく具体的に、かつポジティブで楽しさを意識して、イメージを導いてあげてください。

スポーツや音楽、他の習い事のイメージトレーニングをするときも同様です。
なるべく具体的に、上手にできているところが思い浮かぶように言葉がけをしてあげましょう。

最初は頭の中で想像するように意識して、そのうちお子さまもおうちの方も慣れて、鮮明にイメージできるようになりますし、本番前に1人でも簡単にイメージできるようになります。

イメージトレーニングは、良いイメージを持つことができ、呼吸法によって、リラックスして平常心を保つことができるので、自分の気持ちをコントロールすることにも役立ちます。
幼児から小学生のうちに練習しておくと、大きくなって、いざというときに必ず役に立ちます。
最初から完璧でなくても良いので、実際に身体を動かして練習するのと同じような感覚で、普段から達成のイメージトレーニングを取り入れてみましょう。

公園で遊ぶ子供

4.小さな成功体験の積み重ねで自信は育つ

何よりも子供の自信を育てるのは、「できた!」という成功体験の積み重ねです。

何かにチャレンジして、「できた!」と思えたとき、子供なりに達成感を感じていますし、「もっと!」と、次のステップへとどんどん進んでいく意欲が生まれます。

ハードルをどのくらいの位置に設定するかによって、お子さまのやる気を引き出せるかどうかが決まります。
お子さまの性格に合わせて、適切なハードルの高さを見極めましょう。

たとえば、上にお兄ちゃんやお姉ちゃんがいるお子さまは、自分も同じことがしたいと思う子が多いので、少し難しいことにも果敢にチャレンジしようとする傾向があります。

やや慎重派のお子さまは、初めてのことに対して消極的な場合があります。
そのような場合は、最初から無理な目標を設定してしまうと、やる気が出なかったり、すぐに諦めてしまったりすることがあります。
なるべく簡単なステップの目標を立てて、一つひとつ確実にクリアしていくことで、成功体験を積み重ねることができます。

こうした「できた!」をたくさん経験していくことで、お子さま自身のやる気や自信が育っていくのです。

親子

5.親の言葉が、子供の一生を支える

親からもらった言葉は、自分が思っている以上に、子供の人生を左右します。
良い言葉をもらっていれば、それは自信になり、子供の人生を良い方向へ導きます。
反対に悪い言葉をかけられていれば、それがいつも心の奥に引っかかって、「自分はダメな人間なんだ」「どうせできるわけがない」と、大人になってからもネガティブな思考に陥ってしまいます。
たとえ親と距離を置いたとしても、親が亡くなったとしても、幼少期に親からかけられた言葉は決して消えることはないのです。

親が子供に伝える言葉は、根拠がなくてもいいのです。
「大きくなったら、人の役に立つ立派な人物になるよ」
「あなたは本番に強いから、いざとなったらすごいパワーが出るよ」
「人の上に立つ、ひとかどの人物になると信じているからね」など、親が自分の子供に期待を込めて言うのであれば、何の問題もありません。

子供はもしかすると、この言葉を根拠にして頑張れるかもしれません。
根拠のない言葉が根拠になる。
そんなことが起こるかもしれません。
そしてそのような言葉は、親だからこそかけられるものなのです。

子供が何かに失敗して落ち込んでいるときにも、ポジティブな言葉をかけてあげられるといいですね。
「あなたは失敗をバネにして、頑張れる子だからね」
「将来振り返ったら、この失敗があって良かったと、きっと思えるよ」

心が弱っているときにかけられた言葉というのは、いつも以上に心に残るものです。
わが子の支えとなるような言葉をかけてあげたいものです。

 

いかがでしたか。
大人になって活躍してほしいという願いがあるのであれば、家庭で今からできることはたくさんあります。
温かい家庭環境で、お子さまの心を健やかに育むこと、
そして、小さくても目標を立てて、それに向かって努力すること、
そうした基本を教えていけば、将来必ずお子さまの力につながります。
将来の姿を想像して、今できることから始めてみましょう。

 

=参考文献=
スポニチ.”花巻東時代に大谷が立てた目標シート”. https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2013/02/02/gazo/G20130202005109500.html(参照2023/9/22)

運動あそびLab.”大谷翔平の幼少期の習い事やスポーツは?”.https://kobutasblog.com/childhood-of-shohei-ohtani/(参照2023/9/22)