【目からウロコ!】七田式教育の代表 七田厚が語る幼児教育「その時、父は…」第28回 七田 厚

たまたま朝帰りした日に、父が訪問

大学生の時、サークルのメンバーと新宿で飲んでいたのですが、終電が終わって家に帰れなくなった友人が2~3人いたのです。

 

私は自転車で行っていたので、帰ろうと思えば帰れたのですが、始発が動くまで、彼らに付き合いました。

 

みんなが帰って行った後、私がマンションに着いたのは、まだ6時前だったと思いますが、玄関のドアを開けると、台所の明かりがついていて、足元には父(七田眞:七田式教育創始者*)の靴がありました!

 

私は、「あれ?今日、(父が)来る日だったっけ…」と思いながら、静かに中に入り、台所で味噌汁を作っている父に、「ただいま」と言いました。

 

その時、父はなんと言ったでしょう?

 

 

言い訳を用意して、父の言葉を待つ私

 

父は、具材を切る手を休めることなく、「お帰り」と一言、言っただけでした。

 

私は、そのまま自分の部屋に入り、ふすまを閉めて、布団にもぐり込みました。もし、父から「いつもこんな生活(朝帰り)をしているのか?」と言われたら、「いつもじゃないよ。昨日は帰れなくなった友達がいたから…」と言おう、などと言い訳を考えているうちに、いつの間にか眠っていました。

 

そして目が覚め、それから後、父と話をした時に、その朝帰りのことが話題になることはなかったのです。

 

でも、親の立場になってみると、「抜き打ちで来てみたら、朝帰りする息子」って、「この子、大丈夫かなぁ…」って思って、絶対、印象良くないですよね。

 

私は言い訳を用意していましたが、そのことをいつまでたっても訊かれないので、逆に、「親を心配させちゃいけない」と反省するんですよ。

 

「無言の反応」で、「それはどうなのか、自分で考えさせる」というのは、下手に説教するより効くなぁと思いました。

 

 

信頼するということ

普通は、「こんな時間まで何してたの?」、「毎晩、こんな調子じゃないだろうね」などと言いたいところだと思うのですが、それを言わなかったのは、「あなたを信頼しているから」という無言のメッセージだったのだと思っています。

 

「愛」と「厳しさ」と「信頼」が七田式の三種の神器ですが、幼児期にしっかり「愛」を伝え、時に「厳しさ」も発揮して律していけば、最終的には「信頼」が重要になってきます。

 

子供時代を振り返ると、父は幼児期にはいろいろ手をかけてくれたようですが、小学校に上がってからは子供の自主性に任せ、学校の勉強に口を出すことはありませんでした。夏休みの研究を一緒にするとか、百人一首の必勝法を伝授するとか、速算法を教えてくれるとか、そういうことはあったのですが…。

 

「中学を卒業する15歳までに自立させる(自分のことは自分でできるようにさせる)」という目標があり、それ以降、子供扱いしないこと、それが、父流の「信頼する」ということだったのだと思います。

 

*

七田眞:七田式教育創始者
現在では、世界15か国に広がる「七田式教育」創始者。著書は200冊を超える。