【目からウロコ!】七田式教育の代表 七田厚が語る幼児教育「その時、父は…」第23回 七田 厚

3歳からの教育

前回ご紹介した、長男…私の兄はとても賢く育っていたのですが、残念なことに、白血病のため、4歳半で亡くなりました。

当時1歳だった私には、いろいろあって、早期教育を控えることになったそうですが、父(七田眞:七田式教育創始者*)は、私が3歳になったのを機に、文字積み木を使ってひらがなを教え始めました。

父は、幼い私に「これは桃の絵だよ」と絵を見せた後、ひっくり返して「も」の字を見せながら、「これは『もも』の『も』という字だよ」と教えました。

その翌日、父は「も」と書いて、「これは何という字?」と聞いたのですが、3歳1か月の私は「知らん」と答えたそうです。(兄は2歳1か月で答えていたのに・・・)

その時、父はどうしたでしょう?

何かを身に付けるには根気が必要

―私はあきらめず、厚にひらがなを教え続けた。どうすれば、厚が嫌がらずに楽しく覚えていくか、効率的に教えられるか、すべて新しい実験であった。(中略)

「こ」と「も」を並べ、「『も』はどっち?」と、取らせようとする。

すると厚は積み木をひっくり返して桃の絵を見て確かめ、「これ」と答える。これでは、文字を覚えたことにはならない。そこで私は絵のカードと、文字のカードを別々に作り、裏を見て確かめられないようにした。―(七田眞著『生きて来た道・第十集』より)

 

そうして父は、私に、絵カードを取らせたり、文字カードを取らせたり、あるいは絵カードと文字カードを合わせられる遊びが出来るように工夫しながら、日々、根気強くつきあってくれました。そのおかげで、私は1か月経たないうちに、すっとひらがなを全部覚えたそうです。

やろう!と思った日が吉日

3歳で文字を教え始めるということは、一般的には決して遅くはないと思いますが、2歳で教え始める方が、子供にとっても、教える親にとっても、楽だということが、私たち兄弟の結果からわかります。それぐらい、2歳と3歳では、吸収力が違うのです。

しかし、だからと言って、3歳から始めるのが遅いということではありません

私自身、特に1歳から3歳までは、兄が亡くなって、子供が一人になったため、より一層、両親の愛を注いでもらっていたことでしょう。

愛情をかけて、手をかけて、言葉をかけて、ほめて育ててもらっていたのだと思います。

 

字を教えるという知的な取り組みの開始は3歳を過ぎてからでしたが、ベースとなる、親の「愛」がしっかり伝わっていたので、その後の取り組みがスムーズにいったのでしょう。

教育を始めるのに、遅すぎるということはありません。「やろう!」と思った日が吉日なのです。

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七田眞:七田式教育創始者
現在では、世界14か国に広がる「七田式教育」創始者。著書は200冊を超える。